
バス乗務員の健康リスクが及ぼす安全運行への影響が大きな課題になっています。当社バス乗務員には健康診断や脳ドックなどで健康状態の把握と是正指導を行っており、また常日頃から異常時の停車を指導しておりますが、お客様が乗車状態で運転中に体調不良になった場合に運行を中断することは、勇気のいることです。実際、ちょっとした頭痛などの異常は我慢してしまう乗務員がほとんどです。この我慢の結果が意識障害などに繋がってしまうと、大事故に発展してしまいます。
体調不良や車両異常発生時の停車判断は乗務員自身に委ねられます。この体調不良の判断基準を乗務員のバイタルサインなどを解析したシステムから音や光などの警告として乗務員に発せられれば、停車判断の後押しとして機能し、異常時の停車が果たせて事故を未然に防ぎ、乗客と乗務員の生命を守るものになると考えます。
現在、運輸・運送業において、長い時間の運転や不規則な生活をするドライバーの体調管理が運行管理者にとっての課題となっています。そこで、スマートウォッチを活用した「新しい安全管理」をご提案いたします。
現在、デジタルタコグラフやドライブレコーダーを活用したドライバーの安全対策が広く普及しています。当社の「Nobi for Driver」は、従来の方法と違い、専用スマートウォッチを活用した「心拍データ」を用いて、ドライバーの安全対策を行うことができるサービスで、デジタルタコグラフやドライブレコーダーでは検知することができなかったアラートも検知することが可能になります。
乗務員の健康管理と、実際に乗務員の体に異変が起きた時に、一時的な休憩の判断材料として活用できるかどうかを実証実験しました。
乗務員の健康管理に関しては、実際にどこでどういう異変が起きているかの可視化ができつつあります。また、計測結果をもとにドライバーと管理者だけでなく、ドライバー同士も健康について話すきっかけになり、健康意識の向上にも繋がっています。今回の取り組みについて、根室交通から乗務員と乗客にポスターやチラシで周知し、実際にアラートを検知した時に、乗務員が自発的に休憩するために停車しやすい環境を整え始めました。
今後、アラートが発生した時に、実際に停車・休憩をすることができるかが課題になります。また、このデータを活用した事故リスクが低いルート設計や、新人への指導材料としての活用を検討していきたいと思います。